汚染水の海への流出が発覚してから一月あまり。政府は、汚染水対策に国費を470億円投じる事を決定しました。
甘利明経済再生担当大臣は「国が前に出て一刻も早く対応する事が大事なので、その費用をどこに請求するかというのは後の問題、その後の対応は後で考えればいい。」という事を何度も強調していました。
返済を前提とせずに東電に国費を投じるのは、大きな方針転換となります。
しかし、東電の経営者などへの責任を問う法的整理は行わないとしています。
東電は、金融機関に4兆円もの長期借り入れをしている現状であり、法的処理をしていない民間企業に国費を投じることになる為、470億円はあくまで「研究開発」という名目にするのだそうです。
世界を揺るがす汚染水問題には、一刻も早い対策が必要ですが、何か釈然としないものが残るのは何故でしょう。
東電は、こうなる事が分かっていてわざと汚染水流出を発表したふしもあります。
福島汚染水タンクの300トン漏れ事故は「東電の大勝利」
植草一秀氏「事業者である東電は、法的整理する以外に道はない。
法的整理することによって、東電関係の責任がまず法に則って処理されることになる。
この処理があって、初めて国費=血税投入が正当化されることになる。
何が問題であるかと言うと、東電の経営者責任、株主責任、債権者責任が問われていないことなのだ。
この責任処理をせずに、巨大な国費=血税を投入することは許されない。
ところが今回の事故の結果、東電の破綻処理をしないで、破綻処理の議論も無しに国費の投入が、一方的に決定された。
この「東電の大勝利」をもたらした汚染水漏れ事故は偶然起こったのだろうか?」
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また3日には、放射能汚染水を海にタレ流し続ける東電と東電経営陣を、福島の住民が公害罪違反で福島県警に告発しました。
告発されたのは、勝俣恒久会長、武藤栄副社長、広瀬直己社長ら、旧・現経営陣32人と法人としての東京電力。
詳しくは、田中龍作ジャーナル・東京新聞
中部電力は、損失を職員の給与を減らし企業努力していると言うのに、東電はボーナスまで支給していると言うありさま。
さらに、東電の旧経営陣はみな海外に移住して、我関せず状態だと聞きます。
勝俣恒久会長(現在、家族と共に海外在住)→日本原子力発電の社外取締役に再任
清水正孝社長(現在、家族と共に海外在住)→関連会社富士石油の社外取締役に天下り
日本が大変なことになっていると言うのに、心が痛まないのでしょうか。自分が長年在籍した東電のために、ひと肌脱ごうと言う気は起こらない…のでしょうね。。。
ところが今の政府もガッカリものです。こんな最重要課題である汚染水問題よりも、政府の関心はすっかりオリンピック招致にあるようです。
一人200万円の“豪華旅行” 東京都議が大挙してIOC総会へ
どこまで税金を浪費すれば気が済むのか――。2020年五輪の開催地を決定する7日のIOC総会に、都議会議員団が大挙して行くことが分かった。
費用は総額2000万~3000万円。全額、血税である。
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そして更に、東京招致委員会の竹田恒和理事長は2日、開催都市決定の投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員に対し、福島第一原発からの汚染水漏れの不安を打ち消すため「大気と水は毎日チェックされ、問題となるような兆候が一切ない為、東京は全く影響を受けていない」などと訴える手紙を送っていた事が分かりました。
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しかも、アルゼンチンでのIOC総会に高円宮妃久子さまが出席する事になりましたが、これは「皇室の政治利用」なのでは?
高円宮妃久子さまは、7日のプレゼンテーションの冒頭、東日本大震災復興支援への感謝の言葉を約3分間述べられますが、「招致活動の一環と見られかねない懸念もあり、苦渋の決断だった」と言うのです。
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村田元大使「世界が汚染水問題にどんどん目覚めている。こんな時にオリンピックをやったら、日本の恥だ。
事故処理は国際協力なしにやってゆけない。問題はこれからさらに表面化してくる。その際の国際世論は凄いものになる。」
オリンピック招致関連で使える費用を今すぐ福島原発の事故収束のために使うべきだと言うのは、誰の目にも明らかです。
そして、大飯原発3号機が2日に定期検査のため停止し、15日には4号機も同じく停止します。
これにより日本国内が再び「原発ゼロ」となるのです。
しかし、これまで活断層か否かを巡って調査・議論が続けられてきた敷地内を南北に走る「F-6断層」について、原子力規制委がアッサリと「活断層ではない」と結論付けたのです。
まだ、原発を再稼働させる気満々です。
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最後に、もうひとつ書かせて下さい。原発の廃炉問題についてです。
この問題をクリアにしないと原発は無くせないのです。原発さえなかったら、汚染水問題も起こらなかったわけですから。
原発廃炉 会計ルール見直し案 後始末は家計負担
東京新聞「こちら特報部」9月2日よりまとめ
経済産業省は先月、電力会社が原発の廃炉費用を電気料金に上乗せすることができる会計制度の見直し案をまとめた。
現行のシステムでは、廃炉で生じる巨額の損失を一括して計上しなくてはならず、電気料金には直接盛り込めなかったため、廃炉は経営危機に直結した。
電力会社は、廃炉を決めた段階で、その原発や核燃料の資産価値はゼロになる。電力会社にとっては、それが廃炉に踏み切りにくい理由になっている。
経産省の試算では、国内の原発50基すべてを廃炉にすると、計4兆4千億円の特損が発生し、電力会社6社が債務超過になり、一気に経営危機に陥る。
こうした状況を避けて廃炉をスムーズに進めるために、見直し案では、廃炉を決めても、原子炉などの資産価値は残っているとみなし、数年間は「減価償却」の適用を認めるというもの。
これだと特別損失として一括計上する必要がなくなる。
ただ、電力会社にとってはメリットはあるが、電気代という形で国民の負担は増える事が予想される。
資源エネルギー庁の担当者は「電気料金に含めるかどうかは、各電力会社の判断。仮に値上げの申請があっても、経営効率化の努力をした上でのものか否か、厳正に審査をする。すぐに国民負担が増えるわけではない」と説明する。
しかし、福島原発事故後、各電力会社が値上げに踏み切ったことを考えれば、説得力があるとは言えない。
立命館大の大島堅一教授は「汚染者負担の原則に基づけば、当然、東電がすべて負担しないといけないもの。事故の処理費用まで電気料金で回収できるとなると、原発には何の経営的なリスクもないことになる」と批判する。
今後、国民から「パブリックコメント」を募り、早ければ年内にも省令変更の形で、会計制度を変える予定だとしているが、一般の意見が多少は反映される可能性があるものの、国会での審議などは経ず、経産相の命令だけで認められてしまう事が予想される。
大島教授は「本来なら国民に広く説明して理解を求めるべき重大な問題だ。省令の変更で済むことではない。
電力会社にとって廃炉費用が大きな負担なのは事実だとしても、まずは経営者や株主、金融機関の責任の所在を明らかにするのが先。
それをせずに最初から電気料金を充てようとする。原子力政策の行き詰まりは誰の責任で、誰が費用を負担すべきなのか、はっきりさせる必要がある。」と語る。
慶応大の金子勝教授は「電気料金の上乗せや税金投入で電力会社を延命させても、ツケの先送り。国民負担がずるずると増えるだけだ。
電力会社は損失発生を恐れて廃炉を嫌がり、その結果、安全ではない原発を再稼働させようとする。
新会社をつくるなどして原発を電力会社から引き離すこと。それが冷静な判断の前提だ。」と指摘する。
<まとめ終わり>
たくさん書き過ぎましたが、問題山積みです。
日本はこれからどうなるのでしょう。国民みんなが、我が事として意識し、取り組まなければ、問題はひとつも解決できない気がします。
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汚染水問題・原発・書きたいこと山盛り
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