いよいよ本日早朝に、オリンピック開催地が決まります。<最後に追記あり>
しかし、我が国のロビー活動には、辟易としないではいられませんでした。
4日、東京五輪招致委員会がブエノスアイレスで行った記者会見・竹田恒和理事長の発言。
『東京の食品、水、空気は安全で全く問題ない。政府が責任を持って解決する。
放射線量はパリ、ロンドンなどと同じレベルで絶対安全。
首都圏で3500万人は普通に暮らしている。何の心配もいらない。
福島から250km離れているので皆さんが想像するような危険性は、東京には全くない。』
この発言には、原発事故に苦しむ福島県民から「東京が安全ならいいのか」「差別的だ」と反発の声が出ています。
また「『東京は安全』と強調するのは『福島の現状はひどい』と認めるということ」と福島市から自主避難している主婦も憤っていました。
さらに、6日の「報道ステーション」で放送された猪瀬都知事のインタビューがひどかった。
まとめます。★★★
古館キャスター『東京でオリンピックを開く本当の目的、意味は?』
猪瀬都知事『東京都には、誰もがスポーツに親しみ、そして子どもたちに夢を与えるという長期ビジョンがある。
それを実現させるべく、…云々かんぬん…カールルイスさんとかいろんな人が沢山被災地に訪れて、スポーツの力によって沢山の勇気を与えてくれている。
こういうスポーツの力をきちんと、都市政策の中に取り入れて、そして我々の世代は、もう1964年のオリンピックを知らない人たちがいっぱいいるわけですから、ここでもう一度、そのスポーツの祭典の素晴らしさを次の世代に残す責務がある。』
古舘キャスター『汚染水漏れに関して「東京は大丈夫だ」と言っても、外国の記者の人達は納得していない。それは東京も福島も含めて日本だから。
プレゼンテーションで福島のことをどう話すのか?』
猪瀬都知事『今、福島について様々な問題が起きているが、これは今に始まった事じゃない。
1000年に一度の津波がきて、福島の事故が起きた。
まず取り除かなければいけないのは「風評被害」。
その「風評被害」を、どのように無くしていくかという事について、正しい正確な情報を常に公開して、示していくという政府の姿勢が必要だ。
汚染水の問題は、8月7日に安倍首相が「これはやらなきゃいけない」と言って、茂木経産大臣が8月の中旬に体制を作った。
そして、9月3日に関係閣僚会議を開き、汚染水について分かるデータを全部発表し英語版でも出した。
こういう事をやった上で、きちんと解決すると同時に、東電任せにせず政府が乗り出し500億円をつぎ込むという政治の意志、国家の意思が必要。
経済産業省のHPに全て英語で出ているので、そうした正確な情報を出していくことと、政府が東京電力に任せないできちんとやるんだというリーダーシップを内外にしっかり示すことが非常に大事だ。
東京都は放射線量については毎日公開し、生産物の出荷、入荷についても水道水も全部チェックして全部英語で出している。
こういう形で、きちんと実情を説明すれば、「風評」は減る。そこが大事。
いま、逆に他のところからのネガティブキャンペーンと風評がいろんな形で入り混じってきているので、まずは、ファクトと風評を整理して、そしてファクトについてはきちんとした姿勢を示すと。これが一番大事だというふうに思っている。』
古舘キャスター『しかし、470億円の国費投入に関してもまだまだ不足しているし、遮水壁、本当に効果がどこまであるのか?
あるいは地下水を汲みだすということも計画倒れかと言われていることを、ただネガティブとは済まされない現状だと思う。
猪瀬都知事もそして安倍総理も、プレゼンで逃げずにそこに立ち向かっていくことこそ、2020年にオリンピック、パラリンピックが開催されるという事に向けて出来る限りのことを、福島を止めるんだという事をもっと力強く世界に発信して、このプレゼンテーションの中に組み込んでほしいという願いを持っている。』
猪瀬都知事『1000年に一度の大津波に対してスポーツの持つ力が、沢山の方々がきて、そして励ましてくれた。
そういう中で汚染水の問題が出てくるというのは、これは非常に情けない事なんだ。
だからそこにきちんと、今回その方針を出したという事が重要。
福島の問題の全ての解決というのは、直接オリンピック2020年と関係ない。
この福島の問題の解決についてはきちんと政府が工程表を作り、いつこの原発政策に対して、どういう方針を出すのかという事をこれからやらなければならないと思う。
それと現在の東京における放射線量を含めた我々の日常性は、しっかり確保されているという事は「風評」に対してきちんと言わなければいけない。
それは他のところでネガティブキャンペーンをやって混乱させているところもあるので、今ここでわれわれの日常生活がきちんと維持されているという事は非常に大事なことだ。
今回の汚染水の問題も、福島原発そのものの問題も沢山あるが、この汚染水について、ピンポイントでここで解決するという意思を、きちんとスピーディーに示すということが大事だ。』
<まとめ終わり>★★★
そして、最後はドン引きの安倍総理のプレゼンテーション
『世界で最も安全な都市の一つ。それは今でも、2020年でも同じ。
福島第一原発について懸念を持っている方もいるかもしれないが、私はみなさんに約束する。状況はコントロールされている。
私たちは決して東京にダメージを与えるようなことは許さない。
2020年のオリンピックは安全にきちんと実行されることを保障する。
新聞のヘッドラインではなくて、事実を見ていただきたい。
汚染水による影響は、第一原発の港湾内の0.3平方km範囲の中で、完全にブロックされている。
福島の近海で私たちはモニタリングを行っているが、数値は最大でも、WHOの飲料水の水質ガイドラインの、500分の1。これが事実。
そしてわが国の、食品や水の安全基準は、世界でも最も厳しい基準である。
食品や、水からの被ばく量は、日本どの地域においても、この基準の100分の1だ。
つまり、健康問題については、今までも、現在も、そして将来も全く問題はないという事を約束する。
さらに完全に問題のないものにするために、抜本解決に向けたプログラムを、私が責任を持って決定しすでに着手をしている。
わたくしはかつて被災地を訪問した際に、一人の少年と会った。
彼は、被災地を訪れた外国人のサッカー選手から貰ったボールを宝物のように、自慢げに私に、それを示した。
その時私はこう思った。このボールは彼にとって単なるボールではない、単なる宝物では無い。
まさにこのボールは彼にとって、希望、未来への希望。
いま、この瞬間にも、福島の青空のもと子どもたちはサッカーボールを蹴りながら復興そして未来を見つめている。
私は日本の総理大臣として彼らの安全と未来に、責任を持っている。
そして日本にやってくるアスリートのみなさんにも責任をもって、必ずその責任を完全に果たしていくという事を約束する。』
<まとめ終わり>★★★
まあ、よくもここまでウソ八百言えたものです。
少年の話まで利用して、総理はご自分のプレゼンに大満足している事でしょう。
これらの日本政府の発言に対し、海外メディアの反応は?
「日本政府の対応は、楽観的であまりにも場当たり的だ。」
「五輪招致が失敗するかもしれないという段階になって、日本政府はようやく汚染水対策に本腰を入れた印象があり、皮肉な感じがする。なぜ、1年、1年半前に出来なかったのか?」
安全、安全とだけ繰り返す日本政府を、どこの国が信じるでしょうか。
なぜ、あからさまな嘘までついてオリンピックを招致したいのでしょう。そんなに懐に入るのでしょうか。
汚染水対策に470億円。
オリンピック招致に5000億円。
このオリンピックの予算を福島の人々に使えないのでしょうか。
「オリンピックを招致している日本と、私たちが避難している国は別の国ではないか」と語っていた福島の方の言葉を、招致に浮かれている方々にどうしても聞かせてあげたいです。
<追記>
開催地が東京に決定しました。
勝因は、義足のランナー佐藤真海さんたちアスリートの笑顔にあったと思います。
しかし、手放しで喜べる状態ではありませんが、世界から更に注目され、安全だと政府が言い切った限り、汚染水対策や福島原発の問題を政府が本腰を入れて取り組むきっかけにはなると思います。
ただ、福島の方々を蚊帳の外にする事だけはしてはいけないと思いました。