注目したいのは、終了が発表されてから、当の久米宏と番組の舌鋒がさらに鋭くなっていることだ。
番組終了まで残り3回となった13日には、田中眞紀子元衆院議員をゲストに招いて、安倍政権批判と電通批判、さらには安倍首相の祖父・岸信介をめぐるタブーにまで踏み込んだ。
今回はその内容をぜひ、抜粋して紹介したい。
久米と田中は早稲田大学時代、同じ演劇サークルに席を置いていた仲だが、番組は冒頭から絶妙な掛け合いで始まった。
久米「昨今の政治ですけど、安倍政権に関しては田中眞紀子さん、どうご覧になってます?」
田中「どうご覧になってるって、その顔見ればわかるでしょ」
久米「誘導尋問やってるんですから(笑)。じゃあ顔つき変えましょ」
このあと、いったん、別の話題に移るが、しかし、「今どこの官庁もキャリアの知ってる人たちと話しても、みんなやる氣をなくしているの」という田中の言葉から、日本の政治に対する批判が一氣にヒートアップする。
久米「それが聞きたいんです。日本の役人は優秀だ、政治家はダメでも、日本は何とか霞が関でもっているんだと言ってたけど、でも最近の霞が関のひどさったらないじゃないですか。どうして急にあんなひどくなったのか」
田中「上が悪いから。政治家が悪いから。決まってるじゃないですか」
久米「誰のこと、言ってるんです?」
田中「あなたが答えなさい。どうぞ(笑)」
田中「ようするに結論から言っちゃえば、今の政治のシステムね、選び方、すべて変えなきゃいけないし、中央だけじゃなく地方もいっぱいお金をもらった、わけのわかない人たちがですね、今の自民党なんてもう結論、あなたが一番おっしゃりたいことでしょうけど、お金で動いていてですね、誰が金権政治家だなんて批判してたの? (安倍政権が)今、一番やってる。バラマキやってるじゃないですか」
久米「僕、なんでバラマキを電通が引き受けるかわかんないんですよ。
僕が思うには、電通ってオリンピックがなくなっちゃったんで、今年、ものすごくお金が入ってこないんです。
大量な金が電通には流れ込むはずだったんです、今年。
で、それがなくなった分を穴埋めしてるんじゃないか、自民党は。
それ何千億円か何百億円か、電通に下請けにして電通がまた下請けに出して……じゃないの、って僕は思っている。
誰もそれ言わないんです。民放で電通の悪口言う人、いないですもん。僕ぐらいしか。電通の悪口は絶対言えない。」
なんとも衝撃的な分析だが、田中も負けてはいない。追い打ちをかける。
なんと、安倍政権・自民党の情報操作に電通が関与しているとして、こう語ったのだ。
田中「それだけじゃないですよ。電通に、自民党はですよ、各メディアの、このTBSも、あなたが前いらっしゃったテレ朝もそうだけど、全部リサーチさせてですね、誰がどの記者が、どのディレクターがどういう発言してるかということを(調べさせている)。
あなたも以前おっしゃってたことあったじゃないですか。
幹事長室からとか、官邸からストレートに注意してくるわけですよ。
まあ今だったら産経・読売、それ以外についてはですね。こんなメディア規制をやってる国がね、どこにありますか!」
電通は、自民党から、選挙CM、広報だけでなく、ネットのSNS監視やSEO対策、情報操作などを“受注”していた事実があるが、田中は、テレビや新聞のリサーチ、監視も、自民党から依頼されて電通がおこなっていると指摘したのだ。
政権与党の情報操作に電通が関与していることが民放キー局系のラジオで堂々と語られたのは初めてではないだろうか。
その後も、2人の激烈な政権批判は続く。
田中が小泉政権、安倍政権と続く「アメリカのポチぶり」を批判し、「アジア、ヨーロッパの小さな国と緊密な関係を築いて、自立した国になるべきだという論を展開すると、2人の間でこんなやりとりが展開された。
久米「そのくらいのこと、安倍さんはわかってないんですか?」
田中「わかってないでしょ」
久米「どうして?」
田中「あまり利口じゃないから。勉強してない」
久米「なるほどね、すごい同感します」
田中「そういうことです」
また、財政赤字の問題に話が及ぶと、田中は歳出の見直しを主張し、タブーともいえる防衛費に切り込んだ。
田中「アメリカ製の武器、購入。行っちゃあゴルフやってきて、言われるとトランプとやるとOK、OK。
ゴルフはOKでもね、OとKしか言えないんですかね。安倍さんの頭では。
そういうことでオスプレイとかイージスアショアの迎撃ミサイルでしょ。
F35、売れ残っているようなものばっかり押し付けられて……。
特にF35はすでに42機あるんですよ。防衛省に聞きました。
ところが、2019年の閣議決定だからといって勝手に決定してさらに105機買うことにしてきちゃった。あの安倍ちんが」
さらに、なぜ、安倍首相がアメリカの言いなりなのか、がテーマになると、田中と久米は安倍首相が信奉する祖父・岸信介とアメリカの特別な関係にまで踏み込んだ。
田中「日本はアメリカの属国じゃないんです。それを、岸信介さんという方が、安倍さんのおじいちゃんが……。
東條内閣の主要閣僚だったのね、その後、助命してもらったから、ずーっと宿痾(しゅくあ・慢性病)ですよ、彼も。
それが頭の中にあった、トラウマね、言ってみれば。アメリカに物は言えない!
おじいちゃん助けてもらったから。
私、そうだと思っていますよ。それ以外、考えられない」
久米「だってあの人、今の首相ですけど、なんでじいさんの教えを守って、じいさんの後、くっついていくだけで精一杯なんですか?」
田中「お母様が生きているからでしょ」
久米「じいさんは1回巣鴨(プリズン・東京拘置所)に入った人ですからね。あの人の考え方を未だに踏襲してるって」
田中「なんであの方だけが、巣鴨から出てきたんですか!他は絞首刑になったのに。」
久米「なんで、出てきたんですか? アメリカにイエスと言ったからなのですか?」
田中「外務省に私、何度も聞きました。みんな答えません。
何があったんですか?アメリカとの間に。
そのへんから歴史をつまびらかにしなきゃダメですよ」
2人が指摘していたのはもちろん、東條内閣の重要閣僚だった安倍首相の祖父・岸信介が、終戦後、連合国軍からA級戦犯容疑で巣鴨拘置所に収監されたにもかかわらず、不起訴になった問題だ。
岸信介は、満州官僚時代に軍部と結託してアヘン取引に手を染め、取引で得た巨額の利益を戦費に回し、一部を政治資金として活用して東條英機を首相にまで昇りつめさせた。
さらには東條の片腕として商工大臣、軍需次官を務め、国家総動員体制、大東亜共栄圏の自給自足体制の確立を遂行するなど、戦時日本の寵児として辣腕を振るった。
そういう意味では、まさにA 級戦犯として有罪になって当然の人物だった。
ところが、東條ら他7名のA級戦犯が処刑された翌日、岸は無罪放免になった。
この裏には、岸とアメリカの裏取引があったとの見方が濃厚だ。
実際、岸は戦後、公職復帰して政治活動を再開するや、CIAから資金提供を受けていたことがさまざまな資料から明らかになっている。
明言はしなかったが、田中と久米は安倍首相の「アメリカのポチぶり」の背景として、こうした岸信介とアメリカの裏取引問題まで示唆したのだ。
これまで、こんな事実にまで踏み込んだラジオ番組ってあったのだろうか。
あらためて、この番組がなくなることが残念でならないが、放送はあと2回残っている。
次回20日の放送では、沖縄県の玉城デニー知事。
そして、久米宏は番組の終了を発表した先週の放送で、残りの放送で番組終了の理由を丁寧に説明するとも宣言していた。
どんな最後っ屁を聞かせてくれるのか。ぜひ注目したい。
<抜粋終わり>
ちょうど昨日、地上配備型の迎撃システム「イージス・アショア」について、河野太郎防衛相が配備計画の中止を表明しました。
ミサイルの性能は日々進化しており、もうイージス・アショアの技術は時代遅れである事と、莫大なコストがかかる事から、山口県と秋田県に配備する計画を断念したようです。
お賽銭マン@OSAISENMAN
#久米宏のラジオなんですけど 田中真紀子氏、「A級戦犯の岸信介がなんで巣鴨プリズンから出てきたか調べましょう」Full version(田中真紀子氏から)https://t.co/52OZsDukhp https://t.co/quC2n6TCrw
2020年06月14日 12:02
ホントに、終わり間近のラジオ番組を利用して、お二人はタブーに見事に斬り込みましたね!
調べましょうとの問題提起があったから、調べてみました。
A級戦犯の岸信介氏が、巣鴨プリズンに3年間拘束された後、なぜ処刑されずにひとりだけ不起訴になったのか?
岸信介氏は、連合国軍の占領が終わった翌年の1953(昭和28)年には代議士に当選し、それからたった4年で首相になっています。
それは何故なのか。アメリカとの何らかの裏取引があったのは誰の目にも明らかです。
そこには驚くべき事実がありました。そして、アメリカとの裏取引は、なんと、今の安倍首相に引き継がれていたのです!
その疑惑はこちらに説明されています⬇︎
こちらの記事より一部を抜粋します。
岸信介「政治資金は濾過器を通ったきれいなものを受け取らなければいけない。
問題が起こったときは、その濾過器が事件となるのであって、受け取った政治家はきれいな水を飲んでいるのだから、かかわりあいにならない。
政治資金で汚職問題を起こすのは濾過が不十分だからです」
要は、証拠を残すなということであり、嫌疑に対して敏感になれということでもある(実際、岸は東条内閣時代に書いた書類をすべて焼却してしまっている)。
岸はアメリカにアヘン情報を提供し、東条英機裏切り工作をすることによって戦犯訴追を免れた。
日本には、憲法第9条があるために日本は自衛目的以外の軍隊が持てず、米国との相互的な防衛能力を保有できなかった。
つまり、米国が攻撃を受けても日本は援軍を出すことができない。さらに言えば、米国の軍事戦略に乗っかる軍隊を持つことができない。
この相互防衛の考え方が、集団的自衛権の解釈として、1951年の旧日米安保条約締結以来、日米間の問題となっていた。
CIAは1948年以降、外国の政治家を金で買収し続けていた。しかし世界の有力国で、将来の指導者をCIAが選んだ最初の国は日本だった。
釈放後岸は、CIAの援助とともに、支配政党のトップに座り、日本の首相の座までのぼりつめるのである。
岸は、日本におけるアメリカの国益を実現するため、アメリカによって選ばれ、アメリカの資金でつくられた首相だった。
その岸が首相在任中にアメリカに言われてやった最大の仕事は、言うまでもなく日米安保条約の改定だ。
新条約は5条で米国の日本防衛義務を盛り込んだが、続く6条で、米国のアジア戦略のために在日米軍を利用できる「極東条項」が組み込まれた。
しかもこの「極東条項」の「極東」の範囲が明確でなく、アメリカは日本の基地を好き勝手に使えるようになった。
他のA級戦犯容疑者についてはたとえ不起訴でも膨大な資料が残されている。
例えば、緒方竹虎は1000枚近く、正力松太郎は500枚ほど。
しかし、岸はたったの5枚しかない。これは明らかに異常だ。
実は、岸に関するCIA資料はほとんどがまだ秘密指定を解除されていないのだという。
つまり、アメリカの対日占領政策がまだ継続中だということでもある。
こうした歴史を振り返ると、いま現在の安倍政権がやろうとしていることの謎が解けてくる。
集団的自衛権行使も新安保法制も改憲も、すべては、祖父・岸信介とつながっているのだ。
たった一人の政治家のグロテスクな「おじいちゃんコンプレックス」によって、日本は今、国のかたちを大きく変え、アメリカの戦争に引きずり込まれようとしているのだ。
我々はそのことの異常性と恐ろしさを本氣で認識すべきだろう。
<抜粋終わり>
ずる賢く、我が身の保身しか考えていないのは、隔世遺伝でしょうか。
恐ろしいまでの裏取引が、未だ続いていたとは!
安倍さんが2度も首相になる事が出来、官僚総出で忖度し、何度も何度も法改正に挑むのは、そう言う事だったのです。
しかし、今はCIAの力が衰えてきていると言います。
岸信介氏の亡霊に取り憑かれた安倍首相の悲願も、叶うことなく終わるのでしょうか。
久米さんと田中さん、いい話題を提供して下さいました。
あと2回の放送が楽しみです。
安倍さんや電通さんは、今頃、焦っているでしょうね。